2009年11月30日 (月)
渋谷 会計事務所日記
「3回忌にて」
先週の土曜日は、祖父の三回忌でした。
和尚さんにお経をあげていただき、その後「最近の親達が子供のしつけや道徳を教えないから、子供の道徳観が希薄になっている」と和尚さんの子供の時の話をして下さいました。
小4の夏休み、友達と遊んでいたらお腹が空いてきたので、檀家さんの畑に行って、友達に「檀家は親戚みたいなもんだから、スイカ1つとトマト5つ採ってきていいぞ」と友達に採らせてみんなで食べたんだそうです。
それをお祖母さんが遠くから見ていたらしく、家に帰ると玄関先に白装束に短刀を持ったお祖母さんがすごい形相で立っていて、本堂に連れて行かれて服を全部脱がされて座らされ、「この家で、人の物を盗むような者は1人も出たことがない!しかも人に盗らせるとは何事だ!これでお前の姉さんも妹も嫁に行けなくなった!どうするんだ!」とすごい剣幕で怒られたそうです。
「檀家は親戚みたいなもんだから、いいと思って…」「馬鹿もん!なにが親戚だ!あれは泥棒だ!お前のような者は死んだ方がいい!」と言って短刀を抜く。
和尚さんはびっくりして「おばあちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい!」と必死に謝ると、「だったら、わしがいいと言うまでお経を唱えろ!!」と言われ、ひたすらお経を唱え続けましたが、いつまで経ってもいいと言ってくれない。
見かねた母親がもう許してあげたらと声を掛けると、「お前のしつけがなっていないから、こういうことになったんだろう!」とお母さんまで怒鳴られる始末。
和尚さんはそのままお経を唱え続け、しばらく経ってからようやく許してもらえたそうです。
78歳になった今でも、そのことはよく憶えていて、何か悪い心が持ち上がると、その時のお祖母さんのすごい形相が頭に浮かんで、悪いことをしないで済んだとおっしゃっていました。
昔は情報の伝達が今と違って人づてに拠るところが大きかったでしょうから、狭い地域で悪い噂が立つと、その家全体の致命傷になったり、本当にお嫁に行けなくなったりしたのかもしれません。
だからこそ、他人に迷惑を掛けることのないよう躾るのが親の大事な仕事だったのではないでしょうか。
地域との繋がりが希薄になってきたことが、親のしつけが甘くなってきたことの原因の一つなのかもしれないなぁと思いました。
(箕輪)