渋谷　会計事務所日記

「惑い」

孔子が四十にして惑わずと言うとおり、34歳の私は惑ってばかり。

今朝も大いに惑う（迷う？）出来事がありました。

通勤電車での出来事。

比較的早いタイミングで座ることができたので、座ってホッと一息つき、顔を上げると

目の前に女性が立っていました。

その容姿からぱっと見で直感的に「妊婦だ」と思い、反射的に席を譲ろうとしたの

ですが・・・ちょっと待て。

ここで作戦タイム。冷静に判断しなければなりません。

年は私と同年代か少し下くらい。ゆったりとしたワンピースを着ていて、お腹の辺りが

膨らんでいるように見える・・・でも。

この女性が単に太目のワンピース好きだったらどうしよう。

「どうぞ」と席を立った瞬間、平手打ちを喰らうかもしれません。

当然です。見ず知らずのサラリーマンから「あなたは妊婦のごとく腹が出ています」と

宣言されたようなものですから。大きなお世話です・・・でも。

ホントにこの女性が妊婦だったら・・・

妊婦を目の前にして席も譲らず知らん振りをして座っているサラリーマン。それが私。

心の中で譲りたいと思っていても、実際譲らなければただの偽善者です。

などと。

頭の中で葛藤している最中、私はずっとこの女性のお腹の辺りを凝視していたようで、

サッと、手に持っていた大き目のバッグを私の視線から隠すようにお腹に当てました。

違う！

これでは親切どころか変質者です。

しかし結局席を譲る決断もつかず、下を向いて寝たふりをする始末。

情けない限りですが、マタニティーマークが無かったので「妊婦じゃなかった」と

私の中で結論付け、忘れることにします。

（田中）